蒲原鉄道の遺構を訪ねて(2)

蒲原鉄道は、新潟県を走っていた私鉄です。
当初、磐越西線の五泉駅と同線から外れた村松の町を結ぶ
形で開業し、後に、村松から西へと路線を伸ばして、信越
線の加茂に至りました。やがて、自動車の普及に押されて
路線を縮小。1985年4月1日、加茂−村松間廃止。
1999年10月4日に村松−五泉間が廃止となり、鉄道
事業から撤退。現在はバスを中心に営業しています。
長い歴史を持ち、沿線に親しまれたことと、比較的最近
まで営業していたことから、現在も遺構が多く残っています。
2009年3月より2010年8月にかけて、それらを
訪ねた様子をまとめました。

峠を越えると、再び田園風景が広がり、やがて村松の
駅に至ります。村松駅は駅舎がバスターミナルとして
残っています。村松へは、五泉駅から五泉市ふれあいバス
が運行され、そこそこ本数があります。
また、付近には廃線跡の痕跡が残ります。

KANBAR04.JPG
旧村松駅
KANBAR05.JPG
付近の廃線跡

村松のバスターミナルから歩いて20分弱の村松城跡公園に
モハ11形が保存されています。こちらは1930年に
日本車両で製造されたもので、加茂延伸時の増備車との
ことです。

KANBAR15.JPG
モハ11(全景)
KANBAR16.JPG
モハ11
村松から五泉に向かう途中、本田屋というバス停で降りて
10分ほどの所に、2両の保存車があります。
上屋は、旧村松駅のホームのものとのことです。

KANBAR01.JPG
本田屋の保存車
クハ10形は、1930年代に製造された国鉄気動車
(キハ41120)を西武所沢工場で改造して、付随車
としたものです。
KANBAR02.JPG
クハ10
モハ71形は、1927年に武蔵野鉄道(→西武鉄道)
で製造されたデハ1320形電車です。一時モーターが
外され制御車となりましたが、蒲原鉄道譲渡時に再度
モーターを取り付け。路線廃止まで運行されました。
KANBAR03.JPG
モハ71
五泉駅も、加茂駅と同じく駅舎と反対側にホームがあり
ました。駅から見ると、廃線跡が明確にわかります。
KANBAR26.JPG
五泉駅から見た廃線跡
五泉では、市内の粟島公園に保存車両があります。
五泉駅から徒歩20分。磐越西線の北五泉駅の方が
近くて徒歩15分ほどです。


車両はモハ41形。自社オリジナルです。
KANBAR25.JPG
モハ41(全景)
KANBAR24.JPG
モハ41
沿線から外れますが、阿賀野市の安田民俗資料館に車両と
旧本社屋などの保存があります。
KANBAR10.JPG
安田民俗資料館 全景
保存車モハ51は、モハ10形(モハ13)の車体に
モハ1の機器をつけたものです。


写真下は駅名標。ほぼ全て揃っているようです。

KANBAR13.JPG
モハ51
KANBAR12.JPG
駅名標

こちらは蒲原鉄道旧本社。移築の上、資料館本館として
使われていました。写真下はホーム上にあった水飲器。


資料館は長らく休館中で、内部の見学はできませんでした。
雑草が茂り、荒れ気味なのが気がかりです。

資料館への公共交通でのアクセス方法ですが、
 1.新潟駅発五泉行の高速バスで、安田インター下車。
   徒歩20分ほど。おおむね1時間毎運行。
   ※五泉−安田インターの利用はできません
 2.羽越線水原駅発の新潟交通観光バス石間線で、
   赤坂バス停下車。徒歩5分。
   ただし、平日3往復、土日2往復しかありません。
 3.磐越西線馬下駅より、徒歩40分。

KANBAR11.JPG
蒲原鉄道旧本社
KANBAR14.JPG
水飲器

おまけで、現役時代に訪問した際(1983年)の
懐かしい写真から。

写真上は、モハ31。手持ち機器で製造された新造車。
2扉で、モハ41形は、この車両をモデルに製造され
ましたが3扉と違いがあります。廃止後は村松駅構内
に留置されていましたが、解体されたとのことです。

写真中は、本田屋に残るモハ71。
写真下は、冬鳥越に残るED1。
いずれも村松駅にて。

KANBAR27.JPG
モハ31
KANBAR29.JPG
モハ71
KANBAR28.JPG
ED1

前へ

廃線一覧へ戻る  その他一覧へ戻る  トップへ戻る