鉄道博物館 探訪記

鉄道施設めぐり、埼玉の鉄道博物館です。

鉄道博物館は、従来万世橋にあった交通博物館を
2007年10月に大宮に移転したものです。
場所は大宮駅より埼玉新都市交通ニューシャトルで一駅
「鉄道博物館前」駅下車で、徒歩1分。
入口では交通博物館同様、D51のカットボディが
出迎えてくれます。

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建物入口

展示は、実物の車両主体の「ヒストリーゾーン」とそれ以外に
分かれます。「ヒストリーゾーン」の内、古い車両は交通
博物館時代のものが展示されています。

1号機関車は新橋−横浜の日本初の鉄道開業時に使用さ
れた最初の蒸気機関車。後に島原鉄道に譲渡されましたが
貴重な車両として博物館に戻されました。後ろには創業
時の車両が再現されています。

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1号機関車

弁慶号は、札幌−手宮(小樽市内)に北海道最初の鉄道が
開業した時に活躍した蒸気機関車です。以前は屋外に展示
されていましたが、今回館内に戻されました。
同時期に活躍した「義経号」は大阪の交通科学館、
「静号」は小樽の総合博物館にあります。

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蒸気機関車「弁慶号」

開拓使号客車は、北海道に鉄道が開業した当時の古い
客車です。現存する客車として最古の部類に入る貴重な
もの。こちらも以前は屋外に展示されていましたが、
今回館内に戻されました。展示にあたって再度塗り直し
も行われたようです。

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開拓使号客車

9850形機関車は、フランス人のマレーが考案した、
マレー式の車輪配置を持った機関車。動輪が
3軸+3軸という配置で、強力な牽引力を持ち、
御殿場線や関西線など勾配線区で活躍しました。
移設にあたり車体下に通路が設けられ、複雑な構造が
見学できるようになっています。

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9850形蒸気機関車

善光号蒸気機関車は、当地縁の車両です。上野−熊谷間
の路線建設の際に活躍した蒸気機関車とのこと。

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善光号蒸気機関車

御料車とは、皇族が利用するお召列車に使われた車両
のことです。製作当時の最高水準の工芸技術が
取り入れられた、一種の芸術作品です。今回展示車両は
6両に増えましたが、ガラスで仕切られていて中の様子が
わかり難いのが残念です。


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御料車

人車とは、人が押して動かした車両のことです。
柴又の帝釈天の参詣鉄道(京成電鉄の前身)など
で見られましたが、すぐに動力車に変わりました。
実物が見られるのは貴重です。

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人車

C51形蒸気機関車は、旅客用の中型(登場時は大型)
蒸気機関車として、技術的な発展を担った車両です。
青梅鉄道公園に保存されていたものを、今回移設展示
したそうです。
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C51形蒸気機関車
ハニフ1号は、甲武鉄道(現在の中央線)で活躍した電車で、
後に国鉄に買収されたことから、国電の元祖といえる車両
です。国産、木製車体という面だけでも国宝級の価値が
あります。
松本電気鉄道の新村車庫に大切に保存されていたものを
今回移設展示し、古びた外観は保存当時のままだそうです。
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ハニフ1号
ED17形は、大正期にイギリスから輸入された電気機関車
です。無骨な外観が時代を感じさせますね。大宮工場で
保存されていたものを、今回移設展示したそうです。
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ED17形電気機関車
ED40形は、信越線横川−軽井沢間の碓氷峠区間を走る
ための、アプト式電気機関車です。車体下に通路が設けられ
歯車を組み合わせるラックレールの構造が見学できます。
この車両も、大宮工場で保存されていたものを移設展示した
そうです。
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ED40形電気機関車
ナデ6141号は国鉄製造の電車で、大井工場で保存されて
いたものを移設展示したそうです。車端部のトロリーポールが
活躍していた時代を感じさせます。
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ナデ6141号
キハ41307号は、戦前に作られたディーゼルカーです。
後に筑波鉄道に譲渡され、引退後はつくば市の公園に
保存されていました。今回移設展示にあたって塗りなおし
などが行われています
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キハ41307号
マイテ39は、特急「富士」用の一等展望車として製造された
車両です。写真でも一部見えますが、凝った内装が豪華です。
大井工場で保存されていたものを移設展示したそうです。
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マイテ39
クモハ40074号は、20m級の全鋼製の電車です。東京・
大阪近郊の通勤輸送に活躍しました。車両は、大宮工場
保存されていたものを移設展示したそうです。また車両に
合わせてホームは御茶ノ水駅を再現しています。
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クモハ40074号
EF58形は、戦前の流れをくむ電気機関車です。ただし
戦後も特急牽引などで活躍しています。車両は、大宮
工場
で保存されていたものを移設展示したそうです。通常の
塗色は青にクリームですが、この車両は茶に塗りなおさ
れています。
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EF58形電気機関車
ナハネフ22形は、いわゆる「ブルートレイン」20系の一つ
です。「走るホテル」と称されただけあって、車端部の曲線
が優雅ですね。この車両は大船工場で保存されていたもの
を移設展示したそうです。
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ナハネフ22形
101系は、国鉄の新性能通勤電車の幕開けと言える車両
です。この車両は大井工場で保存されていたものを移設
展示したそうです。
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101系電車
181系は、新性能特急電車の草分けです。「こだま」で
デビューし、後に系列統合により全国で活躍するように
なりました。この車両は新津工場で保存されていたもの
を移設展示したそうです。
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181系電車
481系は、181系の交直両用版の特急電車です。特急網
の全国拡大にあたって重要な役割を果たしました。この
車両は勝田電車区にあったものを郡山工場で整備して
移設展示したそうです。
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481系電車

455系電車は、交直両用の急行電車として、東北・北陸・
九州で活躍しました。後に急行の特急格上げが進むと、
普通・快速列車としての活躍が増えました。写真は
仙台地区で活躍していた車両とのことです。また181系・
481系と合わせて、上野駅のホームが再現されています。

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455系電車
ED75形は、客車から貨物まで汎用の交流電気機関車
として活躍し、延べ300両が製造されました。
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ED75形電気機関車
0系は、東海道新幹線の初期形車両として、一世を風靡した
車両です。保存車は交通博物館の入口に飾ってあった
カットボディで、車両全体でないことが残念です。
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0系新幹線
200系は、東北・上越新幹線用としてデビューした車両。
降雪対策としてボディーマウント構造を採用しており、
車体下の通路から、構造の実態を見ることができます。
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200系新幹線
DD13形は、構内での入換用として製造されたディーゼル
機関車です。ここで培われた技術を元に、大型のDD51形
ディーゼル機関車が開発されるなど、エポックメイキングな
車両と言えます。
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DD13形ディーゼル機関車
EF66形は、高速貨物用に製造された電気機関車です。
東海道・山陽線の貨物列車で活躍する他、後に牽引力を
生かして特急列車でも活躍しました。
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EF66形電気機関車
コキ50000形は、貨物がコンテナに移行する時代に合わせ
開発された車両です。写真の国鉄時代のコンテナの塗装が
懐かしいです。
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コキ50000形
レムフ10000形は、冷蔵車の車端に車掌室のついた
ちょっと珍しい形の車両。写真にも写っていますが、実際
魚類を運ぶ様子が、人形で再現されています。
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レムフ10000形
C57形は、国鉄を代表する旅客用の蒸気機関車です。
ヒストリーゾーン中心の転車台の上に置かれ、一日二回
(11:30、15:00)車両を回転するイベントが行われて
います。イベント時は写真の通り人が集まってかなりの
騒ぎになります。
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C57形蒸気機関車

キハ11形は、近代的なディーゼルカーとして全国で
活躍しました。写真の車両は茨城交通に譲渡され、
先ごろまで現役で活躍していた車両です。
十分動かせることから、動態保存車として屋外に
展示されています。

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キハ11形

167系は、急行列車をベースに修学旅行用車両として
整備されたものです。座席は通路を挟んで3人+2人
のBOXシート。洗面台には飲料水のタンクなど
独特の設備を持っていました。
この車両も、交通博物館からの移設で、北側の入口脇の
ギャラリーに置かれ、入場料無で見学できます。

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167系電車

運転シミュレーターはSLを含め5台が用意されています。
SLは予約制で、別料金(500円)が必要。ただし人気は
高く、開館直後には予約終了となります。SL以外も
1〜2時間待ちとなることが多く、体験するのは大変な
ようです。

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SLシミュレーター

交通博物館時代からの名物、巨大な鉄道模型レイアウト
も設けられています。座席上部にはモニター画面があり、
模型先頭部につけられたカメラからの画像が映し出されて
います。

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模型レイアウト

交通博物館から大きく変わったのが、鉄道以外の展示。
ほとんどなくなってしまいましたが、残っている中で
目立つのが国鉄バスの第一号車です。

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国鉄バス

こちらは金剛丸の模型。関釜航路で活躍した大型客船
ですが、ほとんど説明がないのが残念です。

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金剛丸

二階通路脇に設けられた鉄道歴史年表。
10年単位で記述され、年表下には縁の品なども
置かれています。

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鉄道歴史年表

北側はラーニングホールとなっており、鉄道の動く仕組みや
運行システムなどが解りやすく解説されています。子供
ならずとも、勉強になります。
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蒸気機関車動輪の仕組み
ラーニングホール1階は「てっぱく」駅となっており、実物を
使って駅の改札や窓口業務、ホームでの車掌業務などの
体験学習ができるようになっています。ホームには103系
のカットボディが置かれ、ドアの開閉などもできるように
なっています。
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てっぱく駅の103系
こちらは体験用の鉄道工場。書かれたスローガンがリアル
ですね。
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体験用鉄道工場

入口脇にはお土産やグッズ販売のミュージアムショップ。
お土産を買い求める人が多く、盛況でした。
図録が欲しかったのですが、5000円は高いと思います。

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ミュージアムショップ

2階では、定期的な企画展も行われています。
訪ねた時は「新幹線の挑戦」の展示が行われていました。

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特別展「新幹線の挑戦」

交通博物館は、確かに施設が老朽化しており、リニュー
アルにあたって、車両展示とアミューズメント性を主眼に
据えた点は、ある意味正しいと思います。
ただ、交通博物館が1日いても回りきれないほど展示が
充実していたのに比べると、物足りなさが感じられるもの
事実です。それらがどう改善されていくのか、今後を
期待したいです。

アクセス:埼玉新都市交通ニューシャトル
      「鉄道博物館前」駅下車 徒歩1分
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日:毎週火曜日
    年末年始(12月29日〜1月2日)
入場料:大人1000円
    小中高生 500円
    幼児(3才 〜就学前)200円
    ※びゅうプラザで前売券を買うと、館内で利用できる
      ドリンク券が付きます。(2007年11月現在)

満足度:★★★★

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館内のステンドグラス

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