明神電車は、兵庫県の明延鉱山と神子畑の精鉱所を 結んだ鉱山鉄道です。鉱山専用鉄道でしたが、周囲の 交通が不便なため便乗を認め、料金が1円だったこと から「1円電車」として知られました。その保存車両を 訪ねました。
まずは、生野鉱山資料館へ。明神電車とは直接関わりが ありませんが、神子畑の精鉱所で精製された鉱物は 生野鉱山に運ばれ、集約した形で輸送されたとのこと です。そのためか、資料館入口の駐車場に保存車両が 3両あります。
|
生野鉱山資料館 トロリー電車、客車あおば号、運搬車
|
神子畑−生野間は輸送路にあたったことから、早くから 道路が整備されました。写真は神子畑鋳鉄橋。鋳鉄で 造られた初期の橋で、文化財指定を受けています。
|
神子畑鋳鉄橋
|
続いては、神子畑鉱山跡。山の斜面に設けられた大規模 な施設です。上部から下るにつれて精製が進むシステムで 上部に荷物を運ぶためのインクライン(簡易ケーブルカー) 跡もあります。
|
神子畑鉱山跡
|
保存車両は3両。こちらも生野鉱山資料館と同じような 構成です。当初は道の駅「あさご」に保存されていたも のを、最近になって縁の地に移したとのことです。
|
神子畑保存車 トロリー電車、客車わかば号、運搬車
|
鉱山施設を担当したお雇い外国人ムーセの旧宅が残り、 内部は資料館として公開されています。その中に、 車両の模型なども展示されています。
|
ムーセ旧居の模型
|
神子畑から明延まで、路線はトンネルにより直線状に 結び、距離は6kmほどでしたが、その跡をたどるこ とはできません。車で30分ほど大回りして、たどり ついたのが明延。まずは鉱山跡に設けられた資料館を 軌間が狭く、鉱道で使われた車両のようです。
|
明延鉱山資料館 バッテリー機関車と客車
|
こちらが明神電車の保存車両。資料館は、通常非公開 のようですが、電車運行イベントの際、鉱道の見学ツアー が行われるようです。
|
電車あかがね号、電気機関車、貨車
|
鉱山資料館から、車で5分ほど。明延の中心地の広場で 保存車運転会が行われます。車両は客車は昔のものを修復 していますが、バッテリー機関車は新しいようです。 路線は当初U字でしたが、後に円形に拡張され1乗車で 2周してくれます。また、記念として昔を再現した乗車 票がもらえます。
|
保存車運転会 バッテリー機関車とくろがね号
|
運転会場脇にも保存車両があります。また運転日は 隣接する建物で資料展示が行われる他、物販や飲食物の 販売なども行われます。
交通アクセスはやや不便ですが、特に保存車運転会は なかなかの集客で、町興しのイベントとして成功の部類に 入るのではないでしょうか。万人向けとは言えませんが 興味のある方は、訪ねて損のないイベントと思います。
1円電車運転会(明延) アクセス:JR山陰線八鹿駅から全但バス明延線で明延下車。 運転日時:4〜11月の指定日(おおむね第一日曜) 10:00〜15:00(HPにて確認のこと) 乗車料 :高校生以上 300円、中学生以下 1円 満足度 :★★★ (2012年8月訪問/運転会写真は2021年8月)
|
保存車両
パネル展示
|